つれづれ

アトリエにて (2002)

面相筆で一本一本、風紋を描いていく……。
細い筆と太い筆を交互に変えて、一粒ずつ砂粒を描いていく……。
ただひたすら描き続ける。

上気して夢中で描いているのではなく、ただ機械的に手だけを動かしているのでもなく、はっと気がつくと、くたくたになっている自分と、私自身が描いたはずのたくさんの風紋と砂粒を見つけ、まるで時空間に迷い込んでいたような時間が過ぎていた事を知る。そしてまた、ひたすら描き続ける。

このような時間こそ、砂が世の中の全ての音と時間でさえも吸い込んでしまっている、あの砂丘で見つけた「透明な瞬間」ではないだろうか。