つれづれ

南アフリカの砂漠にて 〜ナミブ砂漠〜 (2007)

すだれ現象

水を含んで重くなった砂粒が、砂の斜面をズルズルと滑り落ちてゆっくりと途中で止まる。
その上にまた別の砂粒が追いかけるようにズルズルと覆いかぶさる。
これを繰り返しながらできる砂の造形を、日本では簾(すだれ)現象と呼ぶそうだ。

ナミブ砂漠で、高い砂の斜面に真っ赤に焼けた熱いどろどろとしたマグマが固まっているような簾現象を見つけた。
私の身体も燃えて溶けてしまうように思えた。
暑い中を長い間歩いていたせいもあってか、気が遠くなり目が眩んだ。
突然、とても大きな黒く光った地球のようなものが現れた。
それがスローモーションのごとくゆっくりと、まるでフワフワと空中をボールが弾んでいるように、 私のすぐ目の前を通り過ぎていった。
正気に返ってその黒い物体が過ぎ去った方向に眼をやると、駝鳥の群れだった。

「ここは天国? 地獄?」