つれづれ

浜岡砂丘にて (2003)

眼前いっぱいに広がっている砂が突然スルスルとある一点に吸い込まれていき、その一点がどんどん大きくなって、砂穴があっという間にできあがってしまう。できたばかりの砂穴の斜面を、透明できらめく小さな砂粒がサラサラと流れ落ち、そして止まる。止まったかと思うと、穴の外の砂面が歪みながら穴の中にずれ落ち、このまま私の身体までもが何かとても強い力に引っ張られて、砂穴の奥深くへ連れ去られてしまうかのような錯覚を起こした。

私が絵を描くという行為は、何処が入り口で何処が出口かさだかでない、閉ざされた砂穴の中の通路をさ迷い歩いているようなものだ。そして、この砂穴の中の一つ一つの迷路で、あてどない孤独な旅を続けることが私自身の「精神の運動」なのだろう。