つれづれ

オーストラリアの砂丘にて　〜フレーザー島〜 （2004）

手で砂をすくった。
ひんやりとした感触で私の指と指の間からさらさらと砂が滑り落ちる。
心地良いくすぐったさだった。
砂丘を歩いて汗でべとついていた手が、さっぱりとした。

さっきまで飛行機の中から見えていた砂は、菓子パンに入っている あの甘くとろりとしたカスタードクリームの、匂いと感触までもを感じさせるものであった。
そして、確かに艶のあるクリーム色だった。

今、手の中で光り輝いている砂粒は
柔らかいブルー？　オレンジ？　ピンク？　パープル？　グレー？………… 私の知らない名前の色で透明な光を放っている。
そしてこの世の色を全て一つにまとめてしまったのが、ここの砂だと思った。
その晩私は、この砂のお風呂に入って身体を洗っている夢を見た。

つれづれ 目次

• はじめに
• 砂のことば　宇宙のことば(2019)
• 日本全国の砂丘(2017)
• アートグルー・アートレジンの使用（2017）
• 日常のアトリエにて(2010)
• ブラジルの砂丘にて(2009)
• エジプトの砂漠にて(2008)
• 鳥取砂丘にて（2007）
• モンゴルの砂漠にて（2007）
• 南アフリカの砂漠にて（2007）
• 私の出会った砂（2007）
• 内モンゴルの砂丘にて（2006）
• 作品収納の時（2006）（鳥取砂丘情報館・ギャラリー流音砂）
• 中国の砂漠にてⅠ（2005）
• 中国の砂漠にてⅡ（2005）
• ニューメキシコの砂丘にて（2004）
• オーストラリアの砂丘にてⅠ（2004）
• オーストラリアの砂丘にてⅡ（2004）
• 浜岡砂丘にて（2003）
• アトリエにて（2002）