つれづれ

ニューメキシコの砂丘にて 〜ホワイトサンズ砂丘〜 (2004)

私はたった一人だった。月の淡い光で微かに見える風紋が続いているだけ。
いつもなにかしらを語りかけてくれていた砂の風紋が、今は無表情に冷たく並んでいるだけ。

青白い砂丘

正直言って恐ろしかった。寂しかった。
「一人で死ぬってこういうことだったのだ!」 と思った。
突然、たった一人で亡くなってしまった主人の名前を思わず叫んだ。
『砂丘のてっぺんに登ってみろよ!』主人の声が聞こえた。
誰に何と言われようとも、確かに主人の声だった。
いつだったか砂の風紋のあまりの美しさに涙を流した時のように、涙がどっと溢れた。
やっと砂丘のてっぺんによじ登ると、幾重にも続いている砂丘の山々の一つに数人の人影が見えた。大声で助けを求めた。