松尾多英 プロフィール

松尾多英イメージ

【「砂」100号〇〇枚連作】を制作するようになったきっかけ

私は、絵画を学ぼうと18歳で憧れのフランスの美術学校に行きました。
ある時教授に『君はなぜ日本人の絵を描かないのか?』と、問われました。
何を言われているのか意味を理解できなかった私は、何を描いてよいのか悩みながら暗い【自画像】ばかり、約10年間描いておりました。

帰国して35歳になった時、鳥取県・静岡県の強く風が吹く「砂丘」に偶然出合いました。
砂が風に吹かれてできる風紋は、消えては造られ、造られては消えてしまいます。その風紋の姿が、描いては消し、消しては描く自分と重なり合ったのか、あるいは美しく思ったのか、なぜか解らないまま、自然と涙が出てきました。
それがきっかけで、なんとなく「自画像」から抜け出すことができた私は、それからは、きれい・美しいだけの【砂丘·風紋】ばかり約13年間描くようになりました。そのうちに、世界中の砂丘・砂漠を見てみたくなり、砂漠旅行に出かけました。

世界の砂漠・砂丘、オーストラリア・中国・内モンゴル・アフリカ・ニューメキシコ・ブラジル・エジプト等のとんでもなく壮大な砂漠の砂と戯れていると、私自身が砂粒の様にどんどん小さくなってくるような気がしてきます。
そして、中国の砂漠を旅しているある時、以前、日本の「砂丘や風紋」に出合った時と同じように、別の新しい衝撃的な感情が沸き上がってきたのです。 一粒、一粒の砂がうごめき、荒々しく、力強く、恐ろしく、優しく、寂しく、静かで美しく、永遠に繰り返しながら変容するこの「砂」の運動と同じように、私も一粒の砂になって生きて行こう、そしてまさにこの様な「砂」の運動・姿を描いていきたいと思いました。

この様にして、やっと48歳で初めて自分の生きる道と作品のテーマを見つけました。
私は、止むことなくどこまでも続く「砂」の運動・姿の変容を表現するためには、単作品を何枚も描くのではなく、100号作品を横にずっと何枚も繋げる連作にしなければならないと考えました。こうして私は【「砂」100号〇〇枚連作】を描くようになったのです。      

松尾多英画歴 (2024年現在)

                                                                           
1947年生まれ
1970年École nationale supérieure des Beaux-Arts 修了(フランス・パリ)
1971年東京造形大学就任
1973年テーマ【自画像】個展発表開始(発表10回)
1982年(35歳)砂丘との衝撃的な出合い
1983年テーマ【砂丘·風紋】個展発表開始(発表12回)
1995年 (48歳)テーマ【「砂」100号連作】 個展発表開始(発表15回)
『砂』100号×10枚連作発表(夢土画廊)
1997年『砂』100号12枚連作発表(ギャラリー青羅)
1999年 『砂』100号20枚連作発表(藤沢市民会館)
2002年3月『砂』100号20枚連作発表(静岡カントリー浜岡コース)
 ※既発表の修正作品
2002年5月『砂』100号20枚連作発表(八王子市芸術文化会館)
 ※既発表の修正作品
2002年10月『砂』100号32枚連作発表(鳥取県砂丘の家 レイガーデン)
 ※既発表の修正作品
2005年『砂』100号26枚連作発表(鳥取砂丘情報館 サンドパルとっとり)
 ※以後常設展示
2010年『砂』100号12枚連作発表(ギャラリー青羅)
2011年『砂』100号11枚連作発表(ギャラリーCORSO)
2012年『砂』100号17枚連作発表(ギャラリーCORSO)
2013年東京造形大学定年退職
2014年 『砂』100号10枚連作発表(ギャラリーCORSO)
2016年 『砂』100号9枚連作発表(ギャラリーCORSO)
2017年『砂』100号11枚連作発表(ギャラリーCORSO)
2019年『砂』100号11枚連作発表(大山現代の美術館)
2024年『砂』100号20枚連作発表(東京芸術劇場ギャラリー2)

主な団体展·グループ展

 
1976年 今日の精鋭120人展(東京セントラル美術館)
1977年「顔派」集合展(和光ギャラリー)
1980~1984毎年人人展(東京都美術館)
1989~2000毎年C.A.F展(埼玉県立近代美術館)
1988年 ビーナス達の百年展(日本橋三越本店7階ギャラリー)
2000~2024毎年「砂の会」展(八王子市学園都市センターギャラリー)

主な掲載・放映

     
1973年ポストコレクション(週刊ポスト)
1980年スターダスト(芸術新潮)
1987年スターダスト(芸術新潮)
1990年ポストコレクション(週刊ポスト)
1999年『絵は風景』(読売新聞)
『魅せられた砂と海岸』(神奈川新聞)
『街で』(朝日新聞・神奈川版)
2000年『美の世界』―砂を描く―(日本テレビ)
『砂浜を描く日本画家』(静岡新聞)
『砂丘を描き続ける日本画家(浜岡ケーブルテレビ)
2002年 『松尾多英日本画家展〈砂の丘のものがたり〉』(月刊 大樹誉)
『消えゆく砂丘虚心で描く』(日本経済新聞・文化欄)
『砂や風紋描いた32点』(静岡新聞)
『砂丘織りなす世界42点』(中日新聞)
『時の新景』(高知新聞)
『画布33枚、53.5メートル「砂の絵」』(読売新聞)
『透明感のある形』(日本海新聞)
『アトリエ訪問』(信濃毎日新聞)
2003年 『表紙を読む』(ロータリーの友)
『山陰海岸歴史・文化探訪』(鳥取県文化観光局)
2004年 『レッツ・ゲートボール』ゲスト(テレビ埼玉)
2005年 『鳥取砂丘サンドパルとっとり』(奈良新聞)
『延々と続く砂の風景』(読売新聞)
2006年 『潮流』(日本海新聞)
2012年『時の余白に』(読売新聞)
『砂描き続け30年』(日本海新聞)
2013年 『忘れられないひと言』(BS-TBS NEWS21サンデースコープ)
『無限に続く砂の大作画集出版』(日本海新聞)
『Art Selection』(アートジャーナル)
2024年 『砂丘、砂漠に着想.全長26メートルの連作』(日本海新聞)
『26メートルの大作「砂」発表』(静岡新聞)
『全長26m超!松尾多英による圧巻の個展開催』(新美術新聞)
『松尾多英個展「砂」100号F×20枚連作』(全日本美術新聞社)

主な所蔵

1999年 CITY CLUB OF TOKYO(カナダ大使館)
2000年 天井山寶積寺(ほうじゃくじ)(岩手県)
2001年 万平ホテル(軽井沢)
2002年 鳥取県立博物館
2004年 八王子療護園(八王子市)
2005年 砂の美術館「サンドパルとっとり」(鳥取県)